はじめに
2025年1月〜2025年4月にかけて「尼づるシステム」に大幅な改善を加え、Amazon のサーバー変更に対応したシステムになりました。主な変更点について説明します。
1. わかりやすい例え
古い家を全面的に立て直すようなものです。外観は同じように見えますが、内部の配管や配線、断熱材など基礎的な部分を新しくしたため、今後も継続して使用できるようになりました。
2. データ取得方法の改善について
以前の問題点
2025年1月に Amazon のサーバー側で重要な変更があり、ブラウザから直接 Amazon のデータを取得する方法(AJAX)が使えなくなりました。これは Amazon がセキュリティ強化のために CORS(クロスオリジンリソース共有)の制限を厳格化したためです。この変更により、尼づるキーワードツールが使用できなくなる問題が発生しました。
従来の方法では、お客様のブラウザが直接 Amazon のサーバーにデータを要求していました。これは「単純な手紙のやり取り」のようなものでした。しかし、Amazon のセキュリティ変更により、この直接的なやり取りができなくなったのです。
新しい方法
新しい方法では、当社のサーバーが「仲介者」として機能します。お客様のブラウザは当社のサーバーにリクエストを送信し、当社のサーバーが Amazon のサーバーからデータを取得して、お客様に返送します。これは「通訳者を介したコミュニケーション」のようなものです。
これは Amazon のセキュリティ変更に対応するために必要な変更であり、従来のシステムをそのまま使い続けることはできなくなりました。
注意ポイント
1. リクエスト制限とアクセス公平性
■ Amazon の制限と当社の対応
Amazon は、その API に対して「1 秒に 1 リクエスト」という厳格な制限を設けています。この制限を超えるとペナルティが発生し、サービス全体が利用できなくなる可能性があります。当社はこの制限を厳守するため、全ユーザーからのリクエストを管理しています。
■ 公平なリクエスト処理システム
すべてのユーザーに公平にサービスを提供するため、順番待ちシステムを導入しています(銀行の番号札システムのイメージ)。
- リクエストは到着順に処理
- 処理完了後に次の順番へ
■ 待ち時間について
- 混雑時は順番待ちが発生
- 待ち時間の目安:
並んでいる人数 × 1 秒
- 処理中はページを閉じたり更新したりしない
■ この仕組みのメリット
- 全ユーザーに公平なサービス提供
- 一部ユーザーによる占有を防止
- システム全体の安定性向上
- Amazon のペナルティを回避し、サービス継続を実現
2. プライバシーとセキュリティ
- 検索キーワードは匿名化した上で処理
- 個人を特定できる情報は収集・保存しません
- 通信はすべて暗号化(HTTPS)
3. レスポンス時間の変化
- 初回検索はやや時間がかかる場合あり
- キャッシュ機能で繰り返し検索は高速化
- 通信環境によって体感速度が変動
4. 障害発生時の対応
- サーバー障害時は一時的に利用不可
- 一時障害は自動リトライ
- 停止時は明確なエラーメッセージを表示
5. ブラウザの設定
- Cookie を有効化してください
- JavaScript が無効だとサービスは利用不可
- 問題発生時はブラウザのキャッシュをクリア
これらの注意点を踏まえ、新しいシステムをご利用ください。
3. 実装規模について
今回のアップデートは約 45 日間の開発期間を要し、198 回のコミット(プログラム変更)を実施しました。変更ファイルは 3,669、総コード変更行数は 536,366 行です。大規模な改修ですが、UI はほぼ変わらないため、特別な学習なくご利用いただけます。
変更の内訳
- Amazon の変更対応 52%
- API 通信層の再構築
- リクエスト処理パイプライン再設計
- データフォーマット変換機能
- インフラ強化 35%
- リクエスト分配システム
- キャッシュ機能
- ユーザー体験調整 15%
- 処理状況表示の改善
- エラーメッセージの明確化
- フィードバック機能強化
- セキュリティ対応 8%
- データ暗号化
- アクセス制御実装
- 匿名化処理
技術的対応
- 分散システム設計
- リクエスト管理メカニズム
- 耐障害性アーキテクチャ
- キャッシュシステム
- エラーハンドリング
4. 見た目が変わらない大規模変更の理由
ユーザーインターフェースの外観はほとんど変わっていませんが、今回の変更は「Amazon のサーバー側変更対応を目的とした根本的な基盤刷新」のためです。
1. 完全に異なるデータ取得アーキテクチャへの移行
従来はブラウザが直接 Amazon へアクセスしていましたが、新システムでは当社サーバーが仲介します。これは単なる機能追加ではなく、システム中核の再設計です。
2. サーバーサイドの新たな負荷対応
- 大量リクエスト処理能力の確保
- 公平なリクエスト分配(ラウンドロビン)
- キャッシュ最適化
- 障害検出と自動回復
3. システムの心臓部分の全面再構築
Amazon の変更で 8 年分のデータ取得ロジックが使えなくなり、ゼロから再実装しました。
4. バックエンド処理の高度化
- データ前処理と変換処理
- キャッシュシステム構築
- エラー検出と処理機構
5. 最小限の UI 変更という選択
ユーザー混乱を避けるため、UI 変更を最小限に留めました。スマートフォン OS の大型アップデートのように、見た目は同じでも内部は刷新されています。
5. β版リリースと今後の改善について
現在の状況
- β版として機能提供を開始
- 基本機能は使用可能
- 一部機能が不安定な場合あり
- 処理時間が長くなるケースあり
今後の改善計画
- 処理速度の最適化
- 動作安定性の向上
- キャッシュシステム強化
- エラー検出・回復機能拡充
β版をご利用中に問題やご要望があれば、ぜひフィードバックをお寄せください。
6. サービス停止期間に対する返金のお知らせ
返金内容
- 金額:3 か月分の料金を全額返金
- 手続き方法:専用フォームから申請
- 返金時期:順次対応
- 時期:5月末まで